『対称性の自発的破れ』

対称性の自発的破れ 2016年 01月号 [雑誌] (数理科学 別冊)

対称性の自発的破れ 2016年 01月号 [雑誌] (数理科学 別冊)

cf. 出版社ページ(目次など)

先月出た本(というか、書店での扱いは雑誌ですが)。「対称性の自発的破れ」ということで、超伝導などの非相対論的な場合も書いてあるけれども、多くの部分を相対論的な場合、すなわち素粒子物理が占めています。著者のお二人とも素粒子が専門なのでもっともですが。

「まえがき」には次のように書いてあります。

 本書は次のように利用することができる。
1. 志ある中学生・高校生:第1章〜第3章を中心に読む。この3つの章が突破できれば残りの章も必ず理解できるだろう。
2. 大学生:...
3. 大学院生:...
4. 研究者:...

つまり、志があれば、中学生でも読める、素粒子標準理論が理解できる、ということです。

それが本当かどうかはともかく、確かに最初の3章は、物理学における対称性の扱いの、非常に良いまとめになっていると思います。逆に言えば、この3章で引っかかるようなら、該当部分をちゃんとした教科書で復習したほうがよい、ということでもありますね。

著者のお二人は、放送大学東京文京学習センターでも面接授業をされています。2016年度1学期は次の科目。
「原著講読(相対性理論)」
「小さな素粒子、大きな宇宙」

近年は、素粒子物理の入門書も、洋書・和書を問わず優れた教科書が多いです。和書なら例えば次のような本。レベルは上記の本と同じくらいだと思います。

素粒子の物理

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素粒子物理学 (裳華房テキストシリーズ・物理学)

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素粒子物理入門―基本概念から最先端まで (新物理学シリーズ)

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